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廃業した老舗旅館をそっくり借りて、1階にはギャラリーや本屋、カフェが並び、2階はアート&レジデンスという複合施設に。様々なイベントも企画開催しています。
​信濃追分文化磁場 油や
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軽井沢町追分607 ☎︎0267-31-6511 

営業期間 4月中旬〜11月はじめ 火曜、水曜定休

営業時間 11:00 - 17:00 

https://aburaya-project.com

オープン/2012年平成24年)  ​ 建物の年代/築80年(昭和12年) 不動産/賃貸

設計・施工/もとは豪農の民家を移築したものなので構造はしっかりしていたが、軽井沢は湿気が多いこともあり、屋根、床と壁などはベコベコな箇所が多かった。建物自体のにかかる修繕は大家さんが行った。

参考にしたいところ広大な施設を、NPOが管理運営。レンタルスペースとして貸し出し、収入を安定させている。アーティストがプロデューサーとして仕事をしていることで、単なる寄せ集めではなく、全体としての魅力、相乗効果が生み出せるような体制をつくっている。隣接する古本屋さんが、管理にかかわることでゲストハウスとしての対応も可能になっている。アート&レジデンスを基本として、宿泊サイトなどは利用せず自前のサイトやパンフレットでの宣伝のみなので、運営者への負担やリスクが抑えられていると感じる。

この建物は、焼失した追分宿の脇本陣・油屋を再建する形で、1938年(昭和13年)に丸子町の豪農の建物を移築し再建された旅館です。もとの脇本陣は、今の場所の向かいにあったそうです。堀辰雄・立原道造などの文化人ゆかりの宿で、追分宿の象徴のような旅館でした。その建物が2008年に売りに出された時、取り壊されることを危惧した隣接する古書追分コロニーのご主人が中心となり、スポンサーを探し、保有をしてもらうことになりました。傷んでいるところも多かったので、大家さん(スポンサー)持ちで直してもらいました。

そして、建物の賃料を無料にする代わりに、固定資産税や修繕等にかかる経費は自分たちでまかなうという条件でNPOが借り受けることになりました。2012年にNPO油やプロジェクトを立ち上げ、活用プランを練り、リノベーションを行ってオープンしました。1階をレンタルスペースとしてギャラリー、カフェなどのテナントを集めています。テナント料は一部屋月4万円だそうです。本館2F・和室5部屋は、素泊まりの宿として昭和の雰囲気を残してそのまま活用しています。

イベントの参加者やテナント関係者、そしてアート作家が展示や創作のために滞在するアーチスト・イン・レジデンスとしても利用されているそうです。1ヶ月近く滞在する作家もいるそうです。もともと旅館なのですが、火災などの防火装置を一新して旅館業の免許をあらたに取得しました。

広い敷地を利用して、アート・クラフト展示、コンサート、落語、演劇、映画上映会、ホンモノ市(本とアートの青空即売会)、古本市、骨董市などさまざまな催しを行い、相乗効果で集客をあげているそうです。特に多くの東信地区の地元アート・クラフト作家が参加する「ホンモノ市」により、人の輪が広まっているということです。

アート関連のプロデュースは、ナカムラジンさんがプロデューサーとなってまとめているそうです。

また、宿泊の申し込みフォームには「旧油屋旅館の建物の保存維持を大原則としている関係で、ご不便をおかけすることも多々あろうかと思いますが、趣旨をご理解の上、ご協力下さいますようお願いいたします」と記されていますが、そのようなスタンスを出すことで、ある程度協力的な客を選ぶことができ、運営側にかかる負担やリスクが軽減されていると感じます。

この宿にゆかりの深い建築家&作家である立原道造の「追分に芸術家コロニーをつくる夢」を受け継いだ魅力的なプロジェクトで、賛同する人の輪を広げることで経営を成り立たせている、NPOならではの運営形態が参考になります。

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