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古い建物を活かした 店&工房づくりのヒント

クラフトや個性的な雑貨などを売る店を取材しました。ここでは3例しかとりあげていませんが、他の小諸佐久の店も思い浮かべながらまとめてみます。

作りながら売る。 ショップ  兼  工房  & more 

今は、どんな商売でも小売だけで店を成り立たせるのはなかなか大変です。

ショップ兼工房ならば、たとえお客さんがこなくても商品を作って(あるいはリペア作業をしていれば、時間を無駄にしなくてすみます。ネットでの販売も大事だと思います。ものづくり体験や講座などを企画して、店(工房)に客を呼び込む人もたくさんいます。そこでは、ものづくりの材料も売れます。

いろいろなことをしながら、広く発信して、経費と人件費をコンスタントに稼いでいかないと、商売は長続きしません。山岳マルシェさんのように、雑貨屋さんを拠点にゲストハウスを運営するというのも、相乗効果の望めるいいアイデアではないでしょうか。

 

空き家を、いくつかのショップでシェアする

空き家になった大きめの建物の部屋をシェアして、いくつかの店が入るという借り方もあります。「信濃追分文化磁場 油や」は、歴史的な建物を残すために、NPOを立ち上げて、1階をシェアギャラリー、2階をゲストハウスにしています。いくつかの店が集まること、協力してさまざまな企画やイベントを打つくとで、発信力を高めています。 小諸の「ギャラリーつたや」も、大正時代の旅館が壊されそうになった時に、萬屋骨董店が借主になってそこに店子を入れるという方式で、シェアギャラリーを始めました。(リノベーションしていないので事例には入っていませんが)

長野では、若い人たちが力を合わせて大きな倉庫をリノベーションし「ボンクラ」というシェアショップを運営していました。(9年続いて2018年に解散)

全国的に見ても、大きな建物を数店でシェアする、古い建物の残る路地の一角を活かして個性的なテナントを入れて観光スポットにする、などのプロジェクトがどんどん生まれています。

 

フォトジェニックな店にして、SNSで拡散してもらう

古民家は、フォトジェニック(写真映え、インスタ映えする)な演出ができます。

古い家の味わいをいかし、絵になるような店のしつらえを心がければ、お客さんが勝手にSNSで拡散してくれます。自分で宣伝するよりも、お客さんが「すごくよかった」と宣伝してくれるほうが、集客には効果があるようです。

 

訪ねたい町、住みたいまちはどちら?

個性的な店がいろいろある町 vs 土産物チェーンの多い観光地

「観光化して人が大勢来るようになるとよい」という目標は同じでも、たとえば古い町並みの中にお土産物チェーンが目につくような観光地では、「住みたい町」ではなくなってしまうかもしれません。(極端なたとえですが)

まちの独自の文化や魅力を育てる、次世代の人材を育てるという視点から見ると、古い建物を活かしたクラフト工房&ギャラリー、地域オリジナル商品の店、個性的なカフェやレストランを育てていくほうが、町は魅力的になります。

「会いたい人がいて、なんども訪れたい町」になり、通っているうちに「住みたい町」になります。うちにも、外にも、町を愛する人が増えていきます。

まちづくり戦略の中で、そのような文化の核となるような、個性的なカフェやギャラリーを増やす取り組みを進めることが、古い町の再生のカギになると思います。

​                      荻原礼子(まちづくりプランナー)2020.2.15​

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​ガラス工房 橙(工房)

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​ガラス工房 橙(ショップ)

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​ギャラリーつたや/店で作品をつくりながら売る(2009年)

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信濃追分文化磁場 油や イベントポスター

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