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古い建物の魅力を活かしたリノベーションのポイント

これまでは価値がないとされてきた古い建物のよさが見直され、最近では古民家やレトロな建物で店を開きたいと、物件を探している人が増えてきました。

このサイトで紹介した店から学ぶ、古い建物の味わいを活かす店づくりのヒントを以下にまとめておきます。

【建物のものがたりを受け継ぐ】

その建物がいつ建てられ、どのように使われてきたのかを知り、そのものがたりをうまく活かしていくことで、他にはない付加価値を生み出すことができます。(ここは、昔は○○で、だからここに、こんなカタチが残っているんです、など)

【古い建物のしつらえ、古道具、古材を活かす】

建物はおおむね古いものほど、地場の自然素材を使い、伝統的な技や工夫に価値がある建物である場合が多いです。そこからは様々な、機能と美を両立させる空間構成や小物づかいのしつらえ、自然の風邪や光をうまくとりこむここちよいしつらえの知恵が生きています。せっかくならば、できるだけそれを活かしたリノベーションで、お店の魅力を高めていかれるとよいと思います。

古民家の柱や梁、土壁の美しさを見せる

昔の建物は、工業製品ではなく自然素材である、木、土、藁、石などでできています。主に戦前に建てられた、梁(はり)や柱がむき出しの木組みと土壁がむき出しとなっている建物が「古民家」と呼ばれものです。(蔵は、土壁で塗りこんでいます)

自然素材は、使い込むほどに味わいが増します。ヴィンテージの価値が出ます。できれば、新建材などで覆ったりせず、ヴィンテージの味わいを魅力として活かしましょう。

小屋組み 吹き抜け 明かりとり窓

古民家の多くは、小屋組み(屋根を支える梁や柱)がむき出しで、そのダイナミックな造形の美が醍醐味になっています。もし近年の改造で天井を張ってそれを隠してあるならば、思い切ってはずしましょう。江戸時代の家ならば、土間からの上は吹き抜けにして小屋組を見せのが、本来の姿です。(参照:火付盗賊、中吉)上のほうに窓をつけ、上から降りてくる光の演出を考えてもよいと思います。(参照:ルヴァン上田店) なお、小諸の本町の町家は、みな建物の中央に明かり取りがついていて、それが特徴のひとつになっています。(参照:そば七、火付盗賊)

自然の風と光をとりこむ

日本の家屋は、風や陽光をうまくとりこむ知恵が豊富です。それらをうまく活かすことで、四季の風情を感じる空間が生み出せます。

サッシではなく、木枠の建具、ガラス戸に

古い建物のリノベでは、建具はサッシではなく、木枠にすると雰囲気がアップします。

木枠のガラス戸などは、空間をぐっとオシャレにしてくれます。

レトロな家具や調度品をいかしたディスプレイ

テーブルや椅子、​ソファ、ガラス棚、古いタンス、下駄箱、薬箱、屏風、つい立などなど、店のディスプレイにアンティーク家具をうまく使うと、雰囲気づくりには大きな効果があります。建物を買ったり借りたする際に、中に使えそうなものがないか見ておきましょう。(そうしないと処分されてしまいます)思わぬものがまったく違う用途でステキに使われているのを見るのは楽しく、センスのよい店だと感じさせます。

古材をつかう

床の張替え、棚づくりなどにできるだけ古材をつくることで、ホッとする居心地のよい空間を演出することができます。

昔のタイルや金具

水周りのタイルや古い金具などは、工業製品にはない手しごとの味わいがあります。水周りなどに新たにタイルを貼る方も多いようです。古い金具を、アンティークショップから買ってきてつけたり、鉄のクラフト作家に新しく依頼するのもよいと思います。

中庭の緑を生かす  

通り沿いの古い商家は、道に面して入り口があり、奥には中庭や裏庭を持っています。居間や座敷のガラス戸を通して、四季折々の緑が楽しめます。店舗デザインに上手にそれを取り込めると、ぐっと魅力のある店づくりができます。中庭、裏庭に面した縁側も、

古い建物ならではの豊かな空間です。

古い石の美しさ 特に小諸は石積みが美しい

古い家のまわりには、いろいろな古い石があります。古材と同じく、ものがたりや味わいを感じさる古い石は大切にして、上手にいかしましょう。特に坂の町・小諸では、家のまわりに石積みが多く、苔や植物が生えて城下町らしい風情を感じさせます。

蛍光灯はさける  電球またはスポットライトで

照明は、部屋全体を明るくするようなものではなく、陰影を生み出すようなもののほうが、古い建物味わいを引き立たせてくれます。特に古民家は、照明の当て方で暗いところに何かが息づくような深い魅力を感じさせることができます。

【居場所をつくる】

カフェは、「まちの居間」です。一番大事なは、店の方の心のこもった接客ですが、そんな店ではお客様のことを考えて以下のようなコーナーを工夫しています。

たたみを残す、ソファをおく 子ども連れでゆったり過ごせる

子ども連れの方のために、たたみの部屋を残す(赤ちゃんや幼児づれでゆっくりできる/参照:まるカフェ、ルヴァン上田店)、ゆったりできるソファーを置く、そのそばに絵本棚を設ける、などの工夫をしているカフェがあり、リピーターを獲得しています。

常連の座るカウンター席

特に田舎の場合は、「店の人と話しをする」「いけば誰かに会える」「新しい誰かと出会う」ということが、カフェに通う大きな要素となります。カウンター席の常連さん(地域の情報通)と、旅の人や移住者との会話が自然に生まれる、人の輪が広がります。(参照:ユーシカフェ、まるカフェ)

ストーブ 山国の冬を味わう

信州の厳しい冬、だからこそ誰かの顔を見にカフェにいきたい。暖かいストーブがあると、心もなごみます。特に炎が見えるストーブは、ゆったりとした山国ならではのぜいたくなです。(参照:ユーシカフェ、まるカフェ、チッタスロー)

【セフルリノベ 自分でつくる 仲間でつくる】

リノベーションを、専門家だけの委ねずに、自分自身でデザインや大工仕事、左官仕事にチャレンジする方もたくさんいます。良い点をあげてみます。

・経費を抑えることができます。

・どうしようかなと、考えながらつくることができます。古材や古家具などを調達し、それにあわせてデザインを考えることもできます。

・DIY(自分でやる工作)を楽しんで、達成感を得られます。技が身につきます。

・できたものに強い愛着がわき、継続的に自分で手を入れていかれます。

ただ、わからないところ、むずかしいところは、専門家に相談したり手伝ってもらう必要はあります。このサイトで紹介した事例では、友人の建築家と一緒に考えた、知人の大工さんに相談して手伝ってもらった、そのつてで左官屋さんなども呼んでもらったなど、専門家のサポートをもらいながら取り組んだという方が多いようです。

リノベのワークショップ

最近は、カフェやゲストハウスをつくる時に、壁塗りなどを大勢の人を集めて「ワークショップ」としてやる事例が増えています。若い世代で、リノベーションにかかわりたいと思っている人は多いので、おもしろそうなイベントにすればけっこう人があつまるようです。そうやって話題をつくりながら、カフェやゲストハウスを建設することで、「みんなでつくった」という気持ちを多くの人が共有し、利用者や支援者の輪をひろげていくことができます。

                                                         荻原礼子(まちづくりプランナー)2020.2.14

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